144MHz:5エレQuad移動用
144MHz:5エレQuad移動用
現用の5エレQuad のSWR特性(センター)がバンド内の下限より下になっているので検証と軽量化(移動も意識)を考えて一から作ってみた。エレメントは接続の容易さと耐久性からAWG16(換算φ1.29mm)のPVC被覆電線を使用した。
144MHzにおいて1MHz当りの波長差は300/144/144=0.0145(m)なので20mmほど小さくすれば1.5MHz足らず上がるがると想定して設定した。
エレメント全長/間隔 |
Re |
Ra |
D1 |
D2 |
D3 |
備考 |
現用 |
2256 |
2144/384 |
2084/200 |
2100/200 |
2106/200 |
Raのみφ2Cu線他はφ2.5のAl線 |
新規 |
2232 |
2122 |
2063 |
2078 |
2070 |
間隔はSWRで決定、AWG16PVC被覆電線 |
ブーム : 13mm Alパイプ(型材アルマイト処理)1m
一般的にブーム側に固定金具を取り付けるがブームが細いので、マスト側にUボルトの穴を開けて金具を取り付け、ブーム側は0.3mm厚のシムを入れた15mmのAlパイプを3mm程度のタッピングビスで固定し、その部分をUボルトで挟む。
スプレッダ : 5.5mm園芸用ポリエチレン被覆グラスファイバーポール
スプレッダ保持具製作
内径13mmのPVCパイプを、専用ソケットに接着して管厚約5mmを確保し、直交する4方向に5mmの穴を開け、幅12mm程度にカットしてソケット1つで4個作る。(手工具のみで正確に
直交する4か所に垂直に穴を開けるのは非常に難しい。)
13mmのAlパイプは13.1mm程度あるので1個づつ内径をやすり掛けする必要がある。
固定用に4mmボルトのタップを切る。
スプレッダの寸法
シンプルな構造にしているのでスプレッダの寸法はシビアだ。大きな誤差を吸収するところが無いのでエレメントを強く張り過ぎると傘型になるし弱いと不細工になる。(多少なら次項の保持パイプの位置を変えて対応できる)
スプレッダの寸法はおおよそ下記の計算式で決まる。
((エレメント全長 - 30 ) √2 / 8 ) - 7 (AWG16 φ2.5mm)
スプレッダの接着
スプレッダのポリエチレン被覆の端5mm剥がし、PVCの穴に挿入してエポキシ接着剤(5分硬化)で固める。(骨材として酸化アルミ粉末を添加した。また固まるまでに多少自由度が有るので、紙に正確な十字を書いて目安にする。)
エレメントの保持
FBニュースにあった4エレQuadの記事のように内径5mmのビニルパイプに穴を開けてスプレッダ先端に取り付ける。(2mmの穴は熱線で貫通させると作業が簡単)
測定
高周波ブリッジと発振器、周波数カウンタで同調周波数(以下f0)を測定し、f0が144MHz帯に近づいてくればRigとSWR計で測定する。
結果1
現行ANTのデータをMMANAの線径を0.64mmにしてシュミレートした結果は余り変わらないことを確認しておいたが、実際に組み上げて地上高2.5m程でテストしてみると全く同調しない。エレメントの数や間隔を変えてみたがダメ。
1.Raだけのf0が144MHzより低い。
2.そこへD1を近づけるとさらにf0が下がる。
3.RaとReだけでは間隔が広い方がf0は上がるが影響は少ない。
4.D2の影響は少ない。
対策
そこでRaの寸法を小さくすることにして10mm程度づつ短くしてD1と2エレにしてf0が144MHz帯になるようにした。
(構造的に寸法の変更はスプレッダを短くするしかないので切りすぎに要注意)
結果2
Ra全長が2070mmで良い結果が得られたが、5エレにできるエレメント間隔にはならなくて、4エレになってしまった。
参考としてFBニュースの4エレQuadの寸法を示す。
エレメント全長/間隔 |
Re |
Ra |
D1 |
D2 |
備考 |
新規 |
2210 |
2070/335 |
2050/370 |
2060/300 |
AWG16PVC被覆電線 |
FBニュース |
2210 |
2212/400 |
2062/250 |
2062/330 |
φ0.9ホルマル線 |
上記寸法でSWR:144.1~144.4の間で1.1を確保し144.7付近まで使用可となった。(2.5mH)
これだけ寸法を小さくしてもまだ低い方に合っているのはなぜ?エレメントの断面積or材質でこれだけ変化するのだろうか?それとも撚線と単線での違いだろうか?結果的に現用ANTに対する初期の目的は達成できなかった。
テスト中に宇治田原町への移動局と交信したがRS57で問題なかった。2.5mHで当局の周りはコンクリート住宅で開けているところが無いので壺の中で交信しているようで指向性はどの程度か不明だがANTから一番遠い建物方向でSWRが下がるのでそれなりの指向性はあるだろうと推測。屋根の上の8mHの現用ANTでは59+だった。
結果3
4エレとして使えるようになったけれどバンド幅の狭さと現使用のANTとの差が納得できず、色々調べていたところ"誘電体中を進む電磁波の速度は誘電体の比誘電率のルート分の1になる"という記述をみて、被覆電線もいくらかの短縮率を持つと思い、ReとD1を1.2φの裸銅線で作り、Ra共々3エレとして組み上げてテストしたところ、無調整でバンド内でSWR1.0の3エレQuad-ANTが出来た。
それで、Raの元の設計値と現状(2070/2122=0.975)から97%がPVC被覆電線の短縮率として各エレメント長を計算して次のサイズで製作したところ、同様に無調整で144-146MHzの間でがWR1.2以下、帯域内にSWR1.0のANTが出来上がった。
エレメント全長/間隔 |
Re |
Ra |
D1 |
D2 |
D3 |
備考 |
決定版 |
2165 |
2070/330 |
1989/200 |
2015/230 |
2008/230 |
AWG16PVC被覆電線 |
雑感
エレメント間隔のうちRe-Ra間は一般的には0.2λと言われ、FB比に関係するだろうと云う事は分かるが現状は測定できない。Ra-D1間はSWRに関係して狭くすると帯域が低くなり、広くすると高くなる感じだ。D2,D3がどの程度GainやSWRに関係しているかは分からないので、FBニュースのように4エレにするのも良いかもしれない。
移動用としてコンテナにPbバッテリーを入れ、Rig、ポール、エレメント等を載せてキャリアで移動できるようにした。 10分も有ればドライバー1本で組み立てられる。
運用時の写真は京都のフレンド局と交信した時のもので、当局から30m以上標高が
高い場所から京都に向けている。
受信はピークS9(7~9)で思った程強くならなかった。(HomeではS7)
ただ送信は公称20W(多分15~16W)なのにいつも通りS9のリポートなので
それなりの高さの効果はあるのだろう。
一応MMANAでのシュミレーションの結果だけ記載しておく。元の5エレQuadからの変更なので殆ど変化は無くて線径が細くなったのと地上高の影響が大きいだけと思われる。
今回の製作で1番の収穫はPVC被覆電線も短縮率を持ち、その値は97%である、と云う事が分かった事だと思う。2025.11.30
145MHz |
Gain(自由空間) dBd/dBi |
リアルグランド dBi |
FB比(7mH) dB |
現用Quad |
8.19/10.34 |
14.88(7mH) |
16.47 |
今回製作 |
8.08/10.23 |
14.76(7mH)12.56(2.5mH) |
16.24 |
5/8λ2段GP(比較参考) |
2.91/5.06 |
7.35(1.5mH Mobil Whip ) |
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